
この数日、本当に寒いですね。
そんな寒い日本をあとにして、患者さんのSさんが、いよいよ
タイへ出発すると連絡をくださいました。
Sさんは、仕事でタイに赴任する前に、歯を治療しておきたい、
と当院にいらした方です。
治療も一段落し、無事出発。どうぞお元気で!
・・・で、上の写真は、タイ東北地方のコンケーン県という
ところで、歯科治療中の私です! なぜタイで???
実は私、タイとはかなり関わりがあるのです。
この写真は、タイのハンセン病患者さんの療養所へ、日本の
歯科医師が、ボランティアで治療に行った時のものです。
私の恩師、元・神奈川歯科大学学長:梅本俊夫先生のお父様が
昭和25年に始めた、梅本記念歯科奉仕団(Umemoto Memorial
Service group for Lepra : UMSGL)の活動に参加したのです。
ハンセン病は、遺伝ではなく、細菌による感染症であり、薬で
治る病気です。 しかし、当時はまだ、世間では不治の病といわれ、
社会的偏見も激しく、苦しんでいる方が多数おられました。
この悲惨な状況を救うため、梅本記念歯科奉仕団は、日本国内を
始め、世界各国(特にアジア)のハンセン病で苦しむ人々に、
歯科診療奉仕を行うと共に、社会一般に対して正しい知識を広める
ことを目的に設立されたものです。
当初は日本国内で治療活動を行っておられましたが、徐々に、韓国、
フィリピン、そして、私が参加させていただいたタイなど、アジア
各国で活動しています。
私は今まで、タイでの治療に3回行きましたが、今まで歯科治療を
受けられずにすごしてきた方たちが、私たちの治療を待って、朝から
大勢並んでいる姿を見て、身の引き締まる思いがしたものです。
冒頭の写真は、あまりに患者さんが多く、診療所の中に入りきれずに
廊下で治療しているところです。
廊下で診療を待つ患者さん達。

団長の梅本俊夫先生

診療所の外では、歯ブラシ指導のビデオを上映。
みな真剣なまなざしです。
日本の大学院に留学していた、友人のタイ人歯科医師に、
タイ語でナレーションを作ってもらいました。


1日の診療を終えて。
これは初めて参加したときのもの。
一番左が私です。(わ、若い。。。)
このときに心の底から感じた、「歯科治療は、患者さんの人生を
良く変えることができるんだ」という感動を、いつまでも忘れずに、
日々の診療に活かしていきたいと思っています。
そして、この活動以来、タイの風土も、人も、好きになって、現在に
至っている、というわけです。
あのとき、治療したタイの患者さんたち、今ごろどうしているかなあ?
元気ですごされていることを切に願います。